辺野古の海を土砂で埋めるな!7.20横浜集会報告

7月20日の夜「辺野古の海を土砂で埋めるな!7.20横浜集会」が開かれた。主催は島ぐるみ会議と神奈川を結ぶ会。会場となった横浜港近くにある開港記念会館の会議室はほぼ満席の100人が参加した。
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まず高梨晃嘉・結ぶ会代表世話人からの主催者挨拶のあと、「辺野古のいま」と題する映像の上映。これは6月末に辺野古座込みに参加した結ぶ会のメンバーが、土砂投入迫る辺野古の現状を沖縄関連ブログやニュース映像も使って15分ほどに編集した。ちょうど前日の19日に琉球新報が「翁長知事23日にも撤回表明か」と一面トップで報じ、またその19日に最初に土砂投入が予定されている辺野古崎南側の護岸が繋げられ、浅瀬が完全に囲われてしまったことも伝えられるなど、現地情勢は緊迫していた。その意味ではタイムリーな講演集会となった。
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集会のメインは琉球新報社編集局経済部長の島洋子記者の講演。島さんは(1)辺野古で今何が起こっているか(2)朝鮮半島情勢と沖縄ー緊張緩和の中で(3)「オール沖縄」の今後と県知事選の3つの柱で60分間、熱弁をふるった。特に20日当日の琉球新報朝刊「県、撤回を明言」「護岸閉鎖 海を分断」を掲げながらの辺野古最新状況の解説には力がこもった。米朝首脳会談については「朝鮮半島の平和に向けた動きが、抑止力の呪縛を解くきっかけになってほしい」と強調し、「辺野古の問題は沖縄だけの問題ではない。国策の為に自治を踏みにじる前例とさせてしまっていいのか」と参加者に問いかけた。
参加者からのアンケートでも「琉球新報ならではの最高の話。感激です」「切羽詰まった状況がよくわかりました」「熱い思いが伝わった」と好評だった。

島さんの講演に続いて「辺野古高江派遣基金・神奈川」のカンパ呼びかけ。これは神奈川県内在住者で辺野古座込みに参加した方に交通費の一部を補助するもの。2016年9月に創設され、すでに50人以上の座込み参加者に補助してきた。この日も会場から約50000円のカンパが集約された。

連帯アピールは沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの大仲尊共同代表から。辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会の首都圏行動への結集が呼びかけられた。

最後に結ぶ会の仲宗根保代表世話人の閉会あいさつで終了。集会後は島洋子さんを囲んで交流を深めた。
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横浜集会の翌週27日の金曜日、翁長知事が埋立承認の撤回を表明した。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-769882.html
しかしこの日も防衛局は大量の車両を連ねてキャンプシュワブへの資材搬入を強行した。知事の撤回表明に対して、菅官房長官も小野寺防衛相も「辺野古移設推進に変わりない」と居直っている。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-769809.html
沖縄の動きに呼応し、首都圏行動へ!
辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会の諸行動へ
https://henokoumeruna2018.exblog.jp/

以下に島洋子さんの講演の概要を紹介する。(文責は編集部)
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[島洋子さんの講演・要旨]

(1)辺野古で今何が起こっているか

昨日、琉球新報は「23日にも撤回表明か」、とトップ記事を掲げた。先週あたりから、やりそうな気配があり、実は今日(20日)じゃないか、と思った。私が沖縄を離れると、いつも重要なことが起こる。今回も同僚から「沖縄を出るな」と言われた(笑い)。
6月12日に「8月17日土砂投入」が防衛局から通知された。みすみす指をくわえていていいのか。沖縄の人々の怒りややるせなさが翁長県政にも向かっていた。7月15日から県庁舎の前で座り込みが始まり、県幹部との面談を求めて庁舎内にも市民が押し掛けた。本来国に向かうべき怒りが、県に向かう緊迫した状況があった。県庁内には撤回時期を巡っていろいろな意見があった。しかし、今やらないダメだ、政治家・翁長としてそう判断した。それを支えているのは沖縄の民意だ。
実は昨日(19日)、辺野古崎の南側の護岸がつながってしまった。先ほどの映像でトンブロックを並べていたところだ。本当に胸がふさがれる思い。これからエメラルドグリーンの海の水を抜いて、そこに「土砂投入」の準備をする。政府・防衛省は「土砂投入」の形を造ろうとしている。土砂投入の一番の狙いは、沖縄の人々をあきらめさせること。「土砂投入の様子を見せればあきらめる」、以前から政府はそう言っていた。土砂投入を最小限に止めれば、まだ引き返せる。ここであきらめてはおしまいだ、とつくづく思う。
安倍政権が2013年に「辺野古唯一」と米国と確認した頃は、こんなに粘り強く反対運動が続くとは思っていなかっただろう
撤回について、県庁内には慎重論が根強かった。前回の取り消し訴訟も含めて県は5回裁判をしている。最も大きかったのが取り消し訴訟。2015年10月に翁長さんが承認を取り消して、裁判になり16年12月に最高裁判決となり、県の敗訴が確定した。最高裁上告からわずか3か月弱で判決が出た。今回の撤回についても、今まで以上にスピードアップして判決を出すかも知れない。県知事選前に判決が出る可能性をも危惧する意見が県庁内にはあった。門前払いの可能性もある。もっと撤回表明を先送りした方がという意見もあった。
しかし、8月17日の土砂投入を少しでも遅らせることに意義がある、と知事は判断したのだと思う。撤回を表明して、防衛局からの聴聞手続きに入る。取り消し訴訟のときには防衛局は聴聞に応じなかった。今回もスルーするかもしれない。前回も、知事は2週間で聴聞を打ち切って埋立承認を取り消した。今回もそうなるかもしれない。
撤回されると防衛局は工事を止めねばならない。仮処分申請で短期間で再開するかもしれない。前回は、防衛局が国交省に不服を申し立てて、執行停止をした。国が私人のふりをして申し立てた。これは行政法学者からも批判があった。今回は裁判所に申し立てると時間はもう少しかかるかもしれない。ただそれでも土砂投入がちょっと伸びるだけかもしれないという声もある。
しかし、民主主義、地方自治の問題として撤回する意義がある。前回の論点は二つあった。大浦湾という自然豊かな環境が破壊される。もう一つは「知事が反対して県民も反対しているのに、自治を無視して国策を貫くのか」。この二つの論点は裁判所に前回無視された。
今回の撤回の大きな論拠は、大浦湾の軟弱地盤。護岸の海底地盤のN値がゼロのところがある。防衛局のボーリング調査のデータにあった。ケーソンという7400トンという巨大なコンクリートを設置する海底がマヨネーズ状の軟弱地盤になっている。防衛局は「まだ調査中」と言い繕って、自分たちの調査結果を無視している。これでは基地ができたとたんに崩れてしまう。羽田空港の拡張工事でも軟弱地盤があった。しかしそれは浅い海底にヘドロが積もっていただけで、地盤改良工事で済んだ。ところが大浦湾は海底の深いところに厚い層の軟弱地盤がある。多分政府は、県政が変われば設計変更できるので軟弱地盤問題はいずれ解決すると考えている。
シュワブゲート前では座込みが続いているが、先週、3メートルのフェンスを夜中に造って、座り込みの場所を狭めてしまった。この狭いところに1列に並んで座込んだ。ところがアルソックが後ろに並んで、まるで一緒に座込んでいるような不思議な光景がある(笑い)。

(2)朝鮮半島情勢と沖縄ー緊張緩和の中で

米朝首脳会談については抑止力の呪縛を解くきっかけになってほしいと思っている。
抑止力という言葉で、いかに防衛局は好き勝手をしてきたか。2012年12月に安倍政権が誕生した翌年に私は東京支社に移動して東京で取材した。沖縄になぜこんなに基地を置くにか。二つの理由が用意されている。一つは、「沖縄は基地で食っているでしょう。基地がないと困るでしょう」。もう一つは抑止力。前者は「基地が経済発展の最大の阻害要因」と考える経済人が増えていることだけ言っておく。問題は後者。「抑止力のために沖縄はちょっと我慢して」、と。これまでは沖縄に寄り添うという「建前」が政府側にもあったが、いまは露骨に「抑止力」を言ってくる。「沖縄さんは少々我慢して、予算でも取ってはどうか」。そう言ってくる。では抑止力とは何か。沖縄が朝鮮半島に近いから?本当か。もっと近いところはないのか。神奈川の方が近いでしょう(笑い)。では台湾海峡はどうか。防衛省に聞いた文書回答が、「沖縄は近からず遠からず」。どこに近くて、どこに遠いのか。実は防衛省も「沖縄が近いから」とは言い切れない。戦後はソ連に対抗して北海道に軍隊が必要だった。50年代に本土で反基地運動が広まった時に、米軍は沖縄に移された。海兵隊は山梨と岐阜から移動した。
沖縄に70%の米軍基地がある。普天間が辺野古に移らないで返還されたら、どれだけ沖縄の米軍基地は減るか。68.6%にしかならない。辺野古新基地が作られたら69.7%。普天間の辺野古移設が沖縄の負担軽減になるなんて、計算上もおかしい。極東最大の空軍基地の嘉手納もある。原子力潜水艦が寄港するホワイトビーチがあり、陸海空海兵隊4軍全て沖縄にある。訓練基地も多い。
アメリカのクリントン政権の時にジョセフ・ナイ国防次官補がいて、アーミテージ・ナイリポートという安倍政権の対米政策のマニュアルを描いている。朝日新聞の3年前のインタビューで、「辺野古移設を沖縄の人が支持するなら賛成する。しかし支持が得られないならば再検討しなければならないだろう」「中国の弾道ミサイルの発達で、固定された基地は脆弱性がある。沖縄の基地は『かごの中の卵』。卵を一つのかごに入れれば全て壊れるリスクが増す」と答えています。この「かごの卵」論は、カート・キャンベル元国務次官補も琉球新報のインタビューで同じようなことを言っている。
米国はは2014年から新しい北アジア戦略を立てた。部隊を分散して、西太平洋を巡回し、どこから攻撃されても犠牲は最小限にする。だから普天間基地も訓練が激しい時もあるが、収まるときもある。米軍はリスクを分散しようとしているのに、普天間をさらに機能強化する辺野古新基地を造ろうとしている。
トランプは米国の負担を減らすために各国と交渉している。在韓米軍の負担はもったいないと考えるが、在日米軍は、「思いやり予算で日本に負担を押し付ければいい」と考えてしまう。むしろ在韓米軍の分を押し付ける。これでは沖縄にとってはマイナスになる。安倍首相が「山口で引き受けましょう」とか菅さんが「神奈川で」とはならない。
もう一つ、自衛隊なら負担と感じないだろうと、政府が考えている節がある。日米一体化が進み、共同訓練がこっそり拡大している。2015年に米軍ヘリが沖縄近海で米艦船の看板上に墜落した事故で、陸上自衛隊員2人が負傷した。防衛省は「研修でした」といまだに言っている。日本版海兵隊の陸自水陸起動団が今年発足したが、これをキャンプ・ハンセンに持ってこようとしている。防衛省は否定しているが、その懸念がある。それからきょうの琉球新報朝刊の「石垣市長、自衛隊受け入れ」。宮古・八重山に自衛隊が配備される動きがある。朝鮮半島に平和が訪れ、朝鮮戦争が終わることは喜ばしいはずなのに、沖縄の軍事化が進んでいる。自衛隊の動きにも、私たちは監視の目を強めないといけない。

(3)「オール沖縄」の今後と県知事選

今年は選挙モード。9月に統一地方選があり、10月に那覇市長選もあり、11月に知事選。宜野湾の佐喜真市長がおそらく知事選に出馬する。そうすると宜野湾市長選もある。2016年1月の宜野湾市長選は、沖縄の選挙の分岐点になった。政府は「勝利の方程式」を手に入れた。9万人規模の都市に国会議員が100人以上も入り、中古車、福祉、病院など各種業界団体に入り込んでいった。「普天間返還後にディズニーリゾート施設」の話もあった。あれはどうなったのか。名護市長選にもUSJ誘致の話もあったが、いまも北部にテーマパーク建設の話もある。どこかで聞いたことのある話、と思うのは私だけか。そのために道路を、鉄軌道を、と菅官房長官のところに要請に言っている。
オール沖縄の枠組は揺れている。さらに知事もすい臓がんの手術をしている。翁長知事とは
退院後に面会した。本当にやせて、声もかすれていた。でも6月23日の慰霊の日の挨拶を見て改めて思ったのは、翁長知事の目の光の強さ。退院後の面会でも、闘争心を感じた。ここで引くわけにはいかない、と思っているのではないか。このまま放り投げることはできないと考えている気がする。
相手の宜野湾市長は56歳。しかも「勝利の方程式」を手に入れている。辺野古を争点化しない。徹底したどぶ板選挙。政府の影を見せない。あれだけ国会議員が入っても、名護で表に出たのは、三原じゅん子と小泉進次郎だけ。業界推薦の参議院議員が一番使えると言っている。しかし、知事選みたいな全県選挙で「勝利の方程式」が通用するか。普天間を抱える宜野湾市長が出馬したときに、辺野古の争点隠しができるのか。前回の宜野湾市長選挙でも佐喜真市長は辺野古の議論は避けた。それは全県選挙では通用しない。

琉球新報は、社として辺野古移設反対の論を張ってきた。政治的問題に中立的立場を取る日本のメディアが多い中で、沖縄でこれ以上の米軍基地には反対であることを鮮明にしてきた。それで沖縄に基地を置き続けたい人たちから叩かれ、ネット右翼からも狙われている。
琉球新報は創刊124年になる。戦前、政府命令で「1県1紙」になり、琉球新報も消え、統合された「1紙」(沖縄新報)は大本営発表を掲載して沖縄戦の片棒を担いだ。戦後、琉球新報の諸先輩は「二度と戦争の為にペンは取らない」と誓いを立てて、「うるま新報」を発刊した。その後1951年に「琉球新報」と改名し、米軍統治下で、弾圧を受けながらも沖縄タイムスとともに発行し続けてきた。
この教訓があるから、「軍靴の足音には敏感でなくてはいけない」というのが、県民に約束した琉球新報の基本的考え方だ。県外からも若い記者が入ってきている。彼らには、沖縄戦の戦跡とかを先輩が案内して、勉強してつなげていかないといけないと思っている。
この辺野古の基地は、経済的にも、安全保障の面でも、沖縄には何ももたらさない。逆に言うと、危険しかもたらさない。だからこそ、辺野古新基地反対の論調を貫いているし、これからも貫く。
翁長知事の妻が辺野古のゲート前に来た時にこんな発言をしている。「知事選で勝ったときに夫と約束した。辺野古に基地は作らせない。万策尽きたら、夫婦でゲート前に座込もう、と」地域のリーダーが反対しているのに、国策だからと米軍基地を造る。それに反対して座込んだリーダーを本土から派遣された機動隊員が排除していく。その映像が世界に流れたときに、この国は民主主義の国だと言えるのか。そうなってしまえば国策の名のもとに何でもできることになる。そういう前例を作る。神奈川の人たちも、それでいいのか。押し付けるものは原発や自衛隊基地、米軍基地。日本中がそうなる。その前例を作らないために、沖縄のことにもっともっと関心を持ってほしい。
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[アンケートに寄せられた参加者の感想(抄録)]
*琉球新報ならではの最高の話。感激です。(男性)
*承認撤回の話はあったが、辺野古県民投票直接請求の話がなかったのは残念だった。「国策という名目の前に沖縄県民意思がないがしろにされる」という指摘はよかった。必要なことは、この現実とどう闘うかということ。(49歳・男性)
*環境問題だけでは勝てないのが、とても残念です。司法は今後も期待できないことに怒りを覚えます。(75歳・男性)
*切羽詰まった状況が良くわかりました。大勢の人にこのことを知らせたいです。メディアがなかなか流してくれないので、私たちで少しずつですが、やりたいと思います。(68歳・女性)
*具体的な話でよかったです。特に大浦湾の地盤強度の話は衝撃でした。(67歳・男性)
*沖縄の心を感じた。共感できました。(67歳・男性)
*沖縄にとって基地は迷惑であることがかなり理解できました。(74歳・男性)
*辺野古の海が土砂で埋められようとしている。詳しい話を聞かせてくれて、ありがとうございました。安倍政権のやっていることはヒドイことばかりで、許せないと思う。支持率が上がるのはどうしてだろう。マスコミが弱いのも原因だと思います。(70歳・女性)
*大変要領よくポイントを突いた講演であり、よく理解できた。妥協なんてありえないことが納得できた。翁長知事を支えるネットワーク(地方自治体の長)が不足しているのが残念である。(62歳・男性)
*沖縄在住の記者から生の話を聞くことができて、改めて基地反対の意志を強くしました。(66歳・男性)
*琉球の声、琉球新報の姿勢、熱い思いが伝わってよかった。(74歳・男性)
*さすが現役の新聞社員。現地の情勢がよく分かった。甘くない現実。(70歳・男性)
*非常に有意義なお話であった。沖縄の現状を理解するのに手助けとなった。(71歳・男性)
*胸に迫るお話だった。(71歳・女性)
*沖縄の様々な情報、選挙も含めて新しく知ることができて大変良かったです。沖縄の人々を安倍政権がいかに苦しめているか。また琉球新報のすばらしさが良くわかりました。(74歳・女性)
*わかりやすいお話、当事者の声がしっくり届きました。(62歳・女性)
*日本という国のデモクラシーは常にまどろんでいる!戦前戦中はともかく、戦後から現在まで、常に国は国民を守らない!一部の特権階級の人々さえよければあとはどうでもい良いという感じだ!!その最大の被害者が沖縄県ではないか。(58歳・男性)
*貴重なお話をありがとうございました。(48歳・女性)

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