3.11横浜集会講演録(高里鈴代さん、大久保奈弥さん)

*以下の講演録は、3月11日の横浜集会でのお二人の発言をテープ起こしして文章整理したものです。当日はパワーポイントで映像をスクリーンに映し出しながらの講演でしたが、映像は省略しています。(文責はブログ管理者にあり)
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「辺野古のサンゴは保全されているか
―問われる研究者の責任」

2019年3月11日横浜市開港記念会館にて
お話 大久保奈弥さん(東経大准教授)

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「辺野古のサンゴは今」というテーマをいただいていますが、実際のところ辺野古のサンゴがどうなっているかは分からない。一部の護岸もできてしまい、海保もいるので、海の中に自由に入ることはできない。
2月25日の防衛省交渉で私が追求したのは、研究者の責任です。「731部隊」も、福島の原発も、研究者が必ず国の政策にお墨付きを与えている。でも研究者は責任を取らない。大学に残って、国の言うことを聞いておけば出世する、そういう研究者が多い。この前「731部隊」のドキュメンタリーをNHKで放送したが、「731部隊」に関わった研究者はやはり偉くなっている。
私はサンゴの研究者なので、研究者たちがサンゴに関して発言していることが科学的に正しいかどうかを検証するのが仕事。防衛局が作成している委員会の議事録を読んで、分析していく。こういう仕事はもちろん自分の研究活動にはならない。研究業績にもならない。これすべてボランティアです。(会場笑)去年などは活動しすぎて、自分の研究が出来なかった。論文も一本しか書けなかった。(笑)私の研究対象は、サンゴが卵から大人になる過程。例えば昨年はマイクロ・プラスチックがサンゴに与える影響について研究し、その成果は多くの新聞で報道された。サンゴには褐虫藻というのが入っていて、その藻類が光合成で作った栄養をサンゴに与える。しかし、その共生関係を邪魔してしまうのがマイクロ・プラスチック。本来はそういう生物学的な研究をしている。
*2018年7月15日毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180716/k00/00m/040/081000c
*『科学』2019年1月号「サンゴと褐虫藻の共生関係を妨げるマイクロ・プラスチック」
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo201901.html
それでも安倍政権があまりに自然を破壊していくのでこのような活動をしている。(笑)ここに参加されている方はそう考えない方はいないと思うのですが、民主主義さえも愚弄している。さらにそこに乗っかる研究者がいる。普段はサンゴの保全と謳っているのに、開発する国の流れに乗っかって、何の環境保全措置もしないで、サンゴを破壊する工事にお墨付きを与えてしまう。その辺りを雑誌「世界」2017年12月号に『サンゴの移植は環境保全措置となりえない―自然再生に隠された研究者と行政の責任』として書いた。

サンゴの移植は環境保全措置になりえないー企業と研究者の責任

安倍首相の年頭の「サンゴは移植した」発言がありました(2019年1月6日NHK日曜討論)。私はその発言を知らなかったのですが、ある記者さんから連絡をもらった。土砂投入している場所のサンゴを移植した事実はないので、発言が間違いであることを知らせるために初めてツイッターをやった。そのツイッターが万単位でフォローされ広がった。すごいニュースになって、私もびっくりした。
昨年12月から土砂が投入されているのは、辺野古崎の南側、護岸で四角く囲まれたところです。安倍さんは「移植している」と言いましたが、確かに9群体のサンゴを沖縄県も採捕許可を出した。しかしそれは安倍さんが示した土砂投入している区域ではない。国は沖縄県に消失区域の生物を事前に移植すると約束しているが、移植というのはそもそも何の環境保全措置にもならない。ただ、これまで環境省や沖縄県自体も移植を進めてきたので、沖縄県としても「移植しても生き残らない」とはなかなか言えない。自分たちが税金を使って進めてきたから。でも実際は生き残らない。そのことをみなさんにご説明したい。
移植はサンゴを折ったり、まるごと採捕して移す。「移してサンゴを増やしましょう」と宣伝して、海にサンゴの苗を植え付けることに毎年2億円くらいの税金を使ってきた。この移植が環境破壊の免罪符にされている。例えば沖縄中部の泡瀬干潟。ここを埋立て海洋レジャー施設を作る計画が進んでいる。自然のビーチを壊して人口のビーチを造る。色々なところで、サンゴを移してサンゴの生態系を再生させようとやっている。何億円も税金を使っている。これがマスコミで美談として伝えられている。「サンゴを殖やしましょう」という美しい話になっている。環境保護活動の難しいところは、美談になって誰も批判できなくなる。「サンゴを殖やしましょう」と言ったときに誰かが、「本当に殖えるのか」と問うと、「なぜ環境を守ろうという人を非難するのか」と非難される。感情論になってしまう。しかし税金を使ってやっている以上、感情論を排除して、きちんと科学的に、本当に生き残ることを立証しなければならない。私もサンゴ移植の批判を始めたときに、移植活動を進めている人から「そんなことを言えば、保全する人がやる気をなくしてしまう」など、自然再生に関わる男性からの圧力があった。いわゆるマンスプレイニング。
なぜ私が移植の宣伝を批判してきたかと言うと、開発の免罪符になるから。サンゴ礁を壊してもいい、となる。安倍首相の発言でわかる通り「あそこのサンゴは移している」、だから埋めても大丈夫、と実際になっている。これまでも必ず開発事業の免罪符にされてきた。実際はサンゴを守れないので免罪符にもならないが、開発の言い訳にはなる。そして研究者もそれを利用している。美談としてマスコミに取り上げられ、研究者も社会貢献活動として評価される。私みたいに辺野古のことで新聞に出ても評価されないが。(笑)
例えば「マリンダイビング」2016年8月号の記事。「養殖サンゴもすくすく成長中 今年も、23億個の幼生が旅立っていった」「世界初で高く評価されている」「次々に世界に発信される恩納村発の試み」とか宣伝している。研究者がインタビューされて答える。必ず美しい話にされる。美しい話には裏がある。(笑)本当にサンゴがどれだけ生き残ったのかというと、0から3割以下。田中律子さんもサンゴ移植の宣伝によく出てくる。
https://www.life-rhythm.net/ritsuko-tanaka-column5/
「沖縄の海への恩返し」とか、「サンゴの移植は追いつかない。でもやった方がよい」とか言っている。日本語の意味が分かりません。(笑)「いえいえ難しくない、簡単にできます」とか、「やらないよりはやった方がいい。移植したサンゴの卵が流れていく。」
こうなってしまったのは、これまで沖縄科学技術大学院大学が行ってきた過剰な広報の責任が大きい。https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2018/5/17/32730
アメリカの広報が入っているので、過剰な宣伝をする。事実でないことまでアピールしてしまう。「23億個の卵が産まれました。幼生が旅立っていく」―こういうと沢山育っているように思えてしまう。だけどほとんどが死んでしまう。それが自然の世界では当たり前のこと。「養殖サンゴもすくすく成長」、そんなことを研究者が言い続けて、田中律子さんのような芸能人も出てきてしまった。「サンゴの養殖をしようと呼び掛けてどんどん植えているが、10年続けているのですが、サンゴは減る一方なので追いつかない」―だったら植えるなと言いたい。(笑)サンゴの移植をうたったツアーとか、修学旅行のイベント、ふるさと納税にもサンゴ移植が出てきている。西平守孝さんというのも有名なサンゴの学者ですが、「サンゴの移植で環境学習しよう」と言っている。この前、美ら海水族館から頼まれて講演したときに、西平さんの面前で「それは間違いです」と言いました。なぜかと言うと、サンゴの移植は、まず増やすのが目的。「環境学習支援になります」というのは副次的効果。一番の目的である「増やすこと」が出来ずにサンゴが死んでしまっている現状で、副次的効果の環境学習を正当化することはできない。

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琉球新報のこの図は分かりやすい。辺野古新基地建設で壊されるサンゴは160㌶、泡瀬干潟95㌶、那覇空港第二滑走路160㌶、あれだけ広大なサンゴが壊されて、再生させますというのは2.7㌶とほんのわずか。それさえも植え続けないと維持できない。
サンゴの再生事業には確かにプラス面、水産学的な価値はある。例えば、船が座礁したときにサンゴがポキっと折れた。それをどういう風にくっつけたら、サンゴが生き残るか。そういうことはすごく大切。台風で折れたサンゴをどのようにくっつけるのかというのは重要。移植の問題は、研究者や企業や行政がプラス面だけ強調してマイナス面を言わないこと。ほとんどのサンゴは生き残らないし、植えた後は手入れをし続けないといけない。植木以上に、海の中は移植後のケアが必要になる。しかも莫大な費用がかかっている。でもそれらのネガティブな面は言わない。
移植でサンゴ礁を再生させることは不可能。にもかかわらず彼らは移植でサンゴ礁を再生させると言い続けている。今はコーセー化粧品とやりとりしている。コーセーの「雪肌精」という化粧品があるが、「水槽の中で育てたサンゴを海に植え付け、サンゴ礁を再生させようと努力しています」と書いてあるから、その文言を削除するようにと。
http://www.savetheblue.sekkisei.com/index.html
コーセーとはまだ交渉中だが、全日空は要求を受け止めてくれた。最初は「海の生き物を守る会」の名前で要望書を出した。無視され続けたので、株を買って株主総会に出ることにした。それでもダメだった。それでCSRの担当者を呼んで、「移植でサンゴの生態系を再生させる」という文言の問題点を指摘し、削除するように求めた。それでもダメだったが、フェイスブックFBに書いたところ、止めてくれた。(笑)FBが一番効いた。わざわざ株を買うことなかったな、と思いました。(笑)このように企業が、移植のプラス面を過剰に宣伝する。みなさんもチェックしてみてください。今日帰ったら、雪肌精のHPを見てください。
移植によってサンゴ礁生態系が再生するというのは無理です。あれだけ壊して、わずかに移植したものが残るだけ。戻るわけがない。そこに棲んでいるほかのたくさんの生き物は移さない。移植で再生させることは不可能にもかかわらず研究者や行政、企業がプラス面だけ宣伝するから、開発の免罪符にされて、海を埋立てても移植するから大丈夫、というあの安倍首相の発言につながる。「あそこのサンゴは移した」、と。しかし移植しても元通りにはならない。このことを知ってもらいたい。

移植ありき、工事ありきの沖縄防衛局と環境監視等委員会

私は、環境監視等委員会の委員として、沖縄防衛局に雇われている研究者の批判をしている。この委員になっている学者は、サンゴの移植ありきで、移植を前提として考えている。この人たちは「サンゴ礁の保全」をうたって税金から研究費を取っている人たちです。確かに土砂で生き埋めにされるよりも少しでも移植で助かるサンゴも出てくるかもしれないが、コメントが非常に非科学的で開いた口が塞がらない。
例えば北上田毅さんの2018年5月22日のブログにある写真。
https://blog.goo.ne.jp/chuy/e/8ebb835a7acc4ef0dc29ed03965b9d2a
この写真、汚濁防止膜で濁った海水が拡散しないと甥いているが、実際には汚濁水が周囲に出ている。この状況は全て委員に報告されている。それでもこの工事はサンゴに影響がないと言えるのか。

サンゴは夏にストレスを受けやすい。沖縄県のサンゴ移植マニュアルには、繁殖期と水温の高い時期を避けて移植することが望ましいと書いてある。ところが環境監視等委員会の委員が、繁殖期を「卵を産む時期」と間違えて理解し、出産の時期を避ければ良いとしていた。でもみなさん、例えば、妊娠して臨月の大きなお腹で引っ越しできますか。できませんよね。ストレスがかかります。論文を読めばわかりますが、繁殖時期というのは、5月から7月の産卵期だけでなく、妊娠中の3月・4月も含むんです。しかも、この移植マニュアルの根拠となっているのは私の論文。(笑)私の論文を読んでもいないで、繁殖期を「赤ちゃんを産む時期」に限定するな、といいたい。(笑)これは防衛局と委員による論文の曲解、もしくは誤用です。研究者としてあるまじきこと。この件では沖縄県の水産課にお手紙を書いた。このことは朝日新聞も大きく取り上げてくれました。「論文曲解」「執筆学者が国批判」と。アエラでも「辺野古工事急いで論文曲解か」。こういういい加減な研究者が委員になっている。でも、こういう委員会にそもそもまともな研究者はほとんど入らない。ストーリーが出来上がっていて、それに沿ってお墨付きを与えていくだけだから。
沖縄防衛局が移植した9群体も、夏の暑い時期に移植した。これも水温の高い夏に移植してはダメと論文で言っている。委員になっている御茶ノ水女子大の服田さんは「ハマサンゴは案外夏場でも移植可能」とか言っている。「案外」って何ですか。(笑)こんな非科学的発言で工事が了承される。これで我々の多額の税金が使われるわけですから、委員たちには公の場で説明する責任があるのです。この前の防衛省交渉の時も「委員にそのように伝えてください」と官僚に言いました。それが科学者の役目。でも、防衛省の議事録も匿名で誰の発言かわからない。しかしサンゴの生物学者は委員の中に一人しかいないので誰だかすぐにわかる。(笑)訴えられても闘います。夏に移植することがなぜダメなのかは、私の論文でも指摘しています。ほかの有名な研究者も種ごとの白化のしやすさを書いている。そういう過去の知見を全て無視して、委員らは防衛局のストーリーに沿ってコメントしている。それで移植が強行された。本当にひどい。

環境破壊の辺野古工事にお墨付きを与える科学者の責任を問う

研究の助成金が取れなくて困っている人とか、名誉欲がある人が委員になることは多い。何がいいのでしょう。私にはわかりません。(笑)あと驚いたのが、「ジュゴン保護、導入で」とか、これはジュゴンがいなくなったから東南アジアからジュゴンを持ってくればいいという話です。何を考えているのでしょう。(笑)餌場もない、どこだか知らない海域に連れてこられても、ジュゴンは逃げていくだけです。本当に可哀そうなことをする。
『人はなぜ御用学者になるのか』(2013年花伝社)
https://www.amazon.co.jp/dp/476340671X
この島村英紀さんの本がどんどん売れてほしい。(笑)本当に環境監視等委員会は防衛省のストーリーに合わせてコメントするだけの非科学的な御用集団で、サンゴ礁生態系を守ることなど考えていない。サンゴ礁地理学者の東大の茅根さんというのは、新学術という国の科研費で何億円も予算をもらって、「サンゴを守ります」と言って、サンゴ礁学会全体の予算となった。でもサンゴの保全は何もできていない。逆にサンゴ礁生態系を壊すことをしている。
これは朝日新聞2018年6月15日の記事。
https://www.asahi.com/articles/ASL6601ZBL65TLZU001.html
本来なら移植しなければいけないサンゴが辺野古にある。でも防衛省は認めない。埋め立て区域内の長径1mを超えるサンゴ群体は移植しなければいけないと決めている。これを移植しないのはおかしい、と朝日新聞は飛行機もヘリも飛ばして写真を撮って頑張った。これを防衛省は何と言ったか。防衛省から委託された㈱エコーという調査会社が言うには、「いや割れていて、部分死亡しているので一つの群体ではない。四つの群体が隣り合っている。各群体は1mより小さいので移植しなくていい」という。このまえの防衛省交渉でも言いましたが、調査会社は他の海域でも同じ調査をしていてデータを持っているはず。そう思って㈱エコーの調査データを調べました。そしたらご丁寧に、那覇空港の第二滑走路の工事の時の、この同じ状態のハマサンゴ。これを「1m以上の健全な1群体です」と言っている。それが30か月後、「部分的に死亡」と指摘している。これは2群体に見える。こういうことです。最初は1群体だったのが、部分的に死亡したり、切れたりしたものですと㈱エコー自身が示している。こんな事例はいくつもある。部分死亡したり、割れたりしていても1群体と見るのが普通です。
さらに大浦湾側にも防衛省が移植対象としているサンゴがたくさんある。その中にも部分的に死亡して割れているサンゴはある。なぜ大浦湾側の同じようなサンゴは1群体と見て移植対象としているのに浅瀬側の同じようなハマサンゴは対象としないのか。無理やり工事を進めるためと言うしかない。矛盾のしまくりです。
防衛省が出した、埋立て承認願書に添付された環境保全図書には、事業実施前に移植します、と書いてある。「事業実施前に、移植・移築作業の手順等、具体的方策について専門家等の指導・助言を得て、可能な限り工事施工区域外の同様な環境条件の場所に移植・移築する」とある。ところがこれを「指導・助言を得て、」で文章を切って、事業実施前に移植しなくていい、と理由付けしている。文章読解としておかしくないか。その官僚らに子供がいたら、受験勉強でも同じように教えるのか。それを聞きたい。
防衛省の約束違反はたくさんある。それに、お墨付きを与えているのが研究者。委員で、東大とか京大とか、横浜国大とか、お茶の水とか、普通の人はそういった有名な大学の先生を信じやすいが、大学名は科学的事実の正確性とは別。とにかく、委員らは公開の場で議論すべきだ。市民の皆さんには是非、公開討論会を企画するとかやってほしい。我々の税金を使って、これだけの環境破壊をしているのですから、科学者としてそのお墨付きを与えた根拠を示す責任がある。私はこれからも批判し続けていきたいと思います。(笑)(拍手)
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沖縄からの訴え
「沖縄の抵抗は続く
―軍事化に向かうこの国を共に変えよう」

2019年3月11日横浜市開港記念会館にて
お話:高里鈴代さん(オール沖縄会議共同代表)

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 みなさんこんにちは。こんなに大勢の方がお出でになって、本当にうれしいです。3年前に神奈川の結ぶ会の集会に来た時には確か会場は鶴見の沖縄県人会の会館でした。
大久保さんのお話は、とても勉強になり、専門家の存在を改めて感じました。土木技術の専門家では北上田毅さん、奥間政則さんの存在が本当に大事で、何年間か彼らと高江や辺野古でご一緒する中で、私でも「違法ダンプ」を見分けられるようになりました。(笑)国が工事を発注して、民間会社が受注し、資材を搬入していくときに、ダンプの積載量とか表示とか、いろいろ法律上の決まりがある。それが高江や辺野古のダンプは違反だらけだった。沖縄総合事務局の国道事務所に出向いて行って、辺野古で出入りするダンプの写真を示した。国も「違法車両は犯罪です」というチラシまで作っているので、違法車両は見逃せない。積載量がオーバーするとカーブなどで事故の原因になる。座込みをして色々なことを学んでいるなと思います。(笑)

辺野古ノーの民意を明確に示した県民投票

 県民投票については、さまざまな議論があった。これまでに何回も沖縄の民意は示している。しかし沖縄から上げ続けている声は届いているのか。
この映像は昨年8月11日に奥武山で集まった集会。「8月17日から土砂投入」が予告されていて、それに向けて県民大会を開いた。会場では、3日前の8月8日に急逝した翁長雄志知事の帽子が壇上の椅子に置かれた。台風が迫っていて、45000人の参加者はレインコートを着用していた。最後は団結ガンバローですが、労組だと左手腰、右手の拳を突き上げる。でも私は左利きなので、あれ大嫌い。(爆笑)左手腰、右手拳と言わないでほしい。それで私が「手をつないで両手を上げよう」というのを始めて、いつのまにか辺野古の団結ガンバローはこの方式になった。昨年の県民大会の団結ガンバローの時に、すぐ横に玉城デニーさんがいた。その後、玉城さんが知事選に立候補して9月30日の選挙で知事になった。これで民意は示された。そもそも県民投票には法的拘束力がない。
1996年に初めての県民投票があり、97年には名護の市民投票もあった。96年の県民投票は、内容は「基地の整理縮小」だが、名護市民投票は辺野古の是非を四択で問うた。政府は防衛局の職員を名護市に送り込んで、いろいろな宣伝をした。基地を受け入れると学校には全部プールができる、とか。会社では社員に基地受け入れ賛成を徹底した。家で子どもから「お父さん、お母さんはどうするの」と聞かれると困った、と言います。
沖縄の米軍基地は、3分の1が私有地、3分の1が公有地、残りが国有地。私有地は市町村が個人の代わりになって基地提供を承認する。市町村が承認しなければ県が承認する。大田昌秀さんが知事になって初めて、代理署名を拒否した。最高裁まで行って知事は敗訴した。その後の県民投票は、労働組合の連合などが推進した。その時に宮古のお祭りがあって、その寸劇で先祖がなかなか帰らない。なぜ帰らないのかと聞くと「あなたたちが確実に県民投票するかどうか見るまで帰れない」と。(笑)そんな寸劇もありました。
今回の県民投票は、辺野古の埋め立ての是非に特化した内容。投票者の72%が「辺野古にノー」の意思表示をした。お手元の配布資料に結果が出ています。
知事選の前に県民投票をという意見もあったが、それは日程的に無理になった。そして2月24日になった。「選挙と県民投票を両方取り組むのは大変」と懸念を表明する人たちもいた。辺野古に座り込み続けて、搬入される土砂の量も増えていく中で、県民投票を呼びかける活動までできない。そういう声もあった。そういう中で、若い人たちが県民投票条例制定請求の署名を10万筆も集めて、実施することになった。
翁長知事が2014年12月に誕生して、辺野古ノーと言った。相手候補に10万票の大差をつけた。2014年には衆議院選挙で沖縄の4選挙区全部で辺野古ノーの候補が当選した。2016年の参議院選でも勝った。しかし政府は「選挙は辺野古の課題だけではない。様々な要因がある」とか言って、辺野古反対の民意を認めてこなかった。これが今回の県民投票で辺野古反対の民意として明確に示された。
今回は5市が県民投票に加わらないという動きもあった。その5市では役所の電話がパンクするくらい市民から抗議の声が寄せられた。職員からも悲鳴が上がった。結果として三択で全県実施となった。三択になることで反対票が減るのではという懸念もあったが、結果は圧倒的に反対が多かった。
政府の関係者が来県して、知事と会うほかに、辺野古受け入れの市町村長や辺野古の行政区長に直接会うというやり方をした。辺野古受け入れの市長は、オール沖縄に対して「チーム沖縄」と名乗っている。辺野古反対をいかに崩すかに注力している。このような中で、これだけの反対が出た。自民党に投票していた人も辺野古反対に入れる人がいた。これほど深く辺野古反対の意思が出たこと本当に良かった。最終日まで活動した。無効票が3000票以上あるが、二重丸や花丸をして無効票とされたり、投票用紙の裏面に反対の理由をビッシリ書いて無効になった票もあった。タクシーの運転手からも「いつもは自民党だけど、今回は反対に入れた」という声もいくつも聞いた。今回の県民投票では、各地域の島ぐるみ会議の人たちが、スタンディングとか工夫を凝らした取り組みをした。私も久茂地の交差点で幟を持って立っていた。いろいろな方法で辺野古反対の訴えかけをした。5市長がまだ県民投票を拒否していた時に、若い元山仁士郎さんが宜野湾市役所前でハンストを始めた。私は彼のところに行って、「ドクターストップがかかったら、すぐやめなさいね」と声を掛けたら、すぐドクターストップがかかってしまった。(笑)元山くんはマスコミの取材対応から訪問者との会話など全部一人でこなしていた。相当消耗したと思う。でも彼のハンストに込めた決意が、首長たちに考えさせるきっかけになっていた。
96年の県民投票は直接には基地の整理縮小や日米地位協定の見直しだったが、それが今日の辺野古の問題につながっている。名護市民投票も含めて、私たちは3回も住民投票で民意を示してきた。NHKの開票速報のニュースを見ていたら、まず最初に「法的拘束力はない」のテロップ。(笑)そんなことわかった上で、意思を示している。法的拘束力は無くても、憲法の精神に合った民意を示している。次にNHKが出したのが、96年の県民投票の投票率59%。三番目に昨年の知事選の投票率を出している。本当に恣意的なものを感じた。自民党や公明の支持者でも反対票が多く、しかも知事選の玉城さんの知事選史上最高得票39.6万票(投票率63%)を4万票余りも上回っている。より明らかに県民の思いが出ている。
にもかかわらず、県民の意思を無視して工事を進めている。逆にその強硬姿勢がマスコミにも報道され、全国にも知られるようになっている。

辺野古の問題は1995年の米兵による少女レイプ事件に遡る

そもそもなぜ辺野古の問題が出てきたか。1995年9月の米兵による少女レイプ事件があり、10月の県民大会に8.5万人が集まった。この年は敗戦から50年目。沖縄の多くの人は、6歳の少女が米兵に拉致されレイプ殺人の末、ゴミ捨て場のようなところに捨てられていた1955年の事件を想起した。亡くなった少女は由美子ちゃん。亡くなっているから名前が知られた。この40年前の事件をみんな思い起こしていた。敗戦50年で摩文仁に「平和の礎」が出来て、各市町村でも戦争の記憶や現在に続く基地の実態について調査や資料集作成が盛んにおこなわれた時期、そんな時に米兵による少女レイプ事件が起こった。
1950年代に島ぐるみ闘争があったが、95年にも高校生も含めてたくさん集会に出てきて、日米当局者は、「日米安保が揺さぶられる」「米軍の安定的駐留、日本の安全保障が揺さぶられる」と危惧した。そこで沖縄に関する特別行動委員会SACOが出来て、二つの回答を出した。一つが、普天間基地の返還。号外も出たが、「いやいや返還ではなく、移設です」という話になった。市街地から人口密度の低いところに県内移設する。もう一つは北部訓練場の過半の返還でした。
ところが、23年後の現在、二つの問題はどうなったか。当初はなかった「オスプレイの配備」が後から出てきた。北部訓練場も、返還地区の7つのヘリパッドの6つをオスプレイ用に機能強化して、15個あるヘリパッドに追加して造ることになった。米兵による凶悪事件への怒りの声を巧妙にいなして、結果的に基地機能を強化した。部隊も規模も縮小されていない。普天間移設先の辺野古も、当初は「撤去可能な海上ヘリポート」と言われて、海上に櫓が出来た。その櫓に上がって、工事に抵抗した。その内に鉄の櫓が錆びてきて、2005年に撤去した。櫓の下には携帯がたくさん落ちていたらしい。(笑)
櫓が撤去されて海が原状復帰した。ところが2004年12月の日米「2+2」で合意して、キャンプシュワブの沿岸、現在の場所に移ってきた。20年以上たって、抵抗闘争のリーダーが何人も亡くなり、工事も継続されて現在に至っている。
工事が強行されている現状を見ると、「もう無理では」と思う人も、「いやあきらめない」という人もいる。先日、「遅すぎる正義は、正義ではない」という言葉を聞いて、ふと思った。そういう思いがあっても、その間に死滅していくサンゴ、海の自然は待ったなし。多くの命が埋まっていく。

巨大な米軍基地の歴史的背景―本土防衛のための沖縄戦と米軍占領

なぜこんなことが沖縄で起こり続けているのか。沖縄に巨大な米軍基地が存在し続けているのはなぜか。沖縄戦の時に、本土防衛を目的として日本陸軍32軍が沖縄にできた。そのミッションは、敵が攻めてきても沖縄で引き留めておく。出来る限り引き留め本土上陸をさせない。まだ天皇が隠れるための松代大本営もできていなかった。天皇制を守るためにも、陸軍32軍は敵を沖縄で引き留める。1945年6月23日に32軍の牛島司令官が自決するが、「一緒に降参しよう」ではなく、「最後の一人まで闘え」と言って死んでしまった。敵を沖縄に引き付けた結果、その時から現在まで米軍は沖縄にいる。軍人よりも住民の被害が多く、その後27年間も米軍に占領された。1947年に天皇が「沖縄を軍事基地として使ってよろしい」と米軍に差し出した。この「天皇メッセージ」で「日本の共産化を防ぐために」という口実で沖縄の米軍占領を認めた。
1972年の返還の時も、実は佐藤栄作とニクソンの日米密約があり、沖縄の基地の継続的な使用と核の保有を保証した。2006年の日米合意で、当時の額賀防衛庁長官は「沖縄県民の悲願に応える」と言った。その時に沖縄の海兵隊8000人をグアムに移し、普天間代替施設として辺野古の基地を造る。海兵隊のグアム移転に7000億円かけるが、沖縄のためを考えれば安いものだ。そう言った。現在も政府の沖縄に対する姿勢はあからさま。民意を無視することが堂々と言えて、国会でも更迭されないし、問題にもならない。

怒りは限界を超えた―軍事化へ向かうこの国を変えよう

沖縄は文化の国でもある。3月4日には「サンシンの日」ということで辺野古のゲート前で三線を引き、プラカードを扇子に代えて踊る。先日は、機動隊に抱えられ、檻の中に囲われても踊っていた。
いま日本の国は本当に軍事化に向かっている。安倍さんはトランプに会って、アメリカの武器を爆買いしている。初めてトランプが来日したときに、「妻たちに平和を書かせ武器売買」という歌を北海道の方が朝日新聞に投稿した。見事に表現していると思った。安倍とトランプの妻たちは小学校を訪ね「平和」と習字を書いている。トランプは武器を一生懸命売って、アメリカの雇用が助かったと喜び、日本の安全のために必要だと言われた。
先日亡くなった私の友人が、彼女は渡嘉敷島の「集団自決」の生き残りですが、彼女が介護してくれているお兄さんに向って、なぜ辺野古の埋め立てに反対するかを一生懸命伝えていた。2004年にはヘリが沖国大に墜落している。2016年には二十歳の女性が米軍属に殺され、オスプレイも墜落した。米兵の事件への抗議集会に7万人が集まり、「怒りは限界を超えた」とプラカードを掲げた。限界を超えたときに、どう表現したらよいのか。米軍の施設は戦争につながっている。女性に対する暴力も継続して起こっている。抗議の座り込みで不当逮捕され、裁判にもなっている。山城博治さんの裁判の傍聴に行ったところ、「山城博治、稲葉博、その他氏名不詳者たち」とあった。私たちのことです。この裁判の判決は、なぜ座込みに参加しているのか、根拠は全く示されずに、国に忖度した内容になった。国連人権委員会の特別報告者も、抵抗が保証されるべき公共空間での表現の自由を侵害する行為だと批判している。
普天間は「5年以内に運用停止」と政府は約束していたが、今年の2月に期限が過ぎた。対米交渉の形跡もない。新たな区域への土砂投入阻止を求めて3月16日には県民大会があり、東京でも同日行動がある。いつまで抵抗が続くのか、という声も出てくるが、4月、7月の選挙でこの国を変えていかないと押しつぶされ、辺野古も埋立てられてしまう。これを止めるためにはみなさんの力が必要です。みなさんの奮闘も期待したいと思います。(大きな拍手)
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